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空想製本屋 「本の庭、庭の本」レポート

日々、暮らしている中で、ふとした瞬間に季節を感じることが、きっとみなさんあると思います。
その瞬間は、心がほどけているような、小さな感動を感じているような、すこし幸せなとき。
「庭の本」は、そんな瞬間をそっと大事に集めてつくられたような、愛おしい本です。

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春・夏・秋・冬、それぞれの「庭の本」は、椿、藍、ローズマリー、枇杷など、空想製本屋のアトリエの庭に育つ、季節ごとの草木を用いて表紙と綴じ糸を染め、一冊一冊手製本で制作されています。綴じ方や造本はそれぞれの季節によって異なり、内容は古典から近代までの、季節を詠んだ和歌や俳句、詩などが集録されています。

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「庭の本 春」は表紙を藪椿と紫木蓮(シモクレン)で、綴じ糸を桜とヨモギで染めています。春、落下した椿の花を拾い集め、花びらを酢と水と混ぜて細かく砕き、染液を作ります。紙を浸して染めると、優しく淡いピンク色に。製本は列帖装(れっちょうそう)という、平安時代に考案された綴じ方で仕立てています。春を詠んだ万葉集〜近代までの76の和歌と俳句を暦順に掲載。

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「庭の本 夏」は表紙とリボンを藍の生葉で、綴じ糸をミントとローズマリーで染めています。夏、庭で育てた藍の葉を刈り、水と葉を合わせて細かく砕いた染液に紙を浸すと、夏の青空のような澄んだ水色、甕覗(かめのぞき)の色が現れます。製本はリボンに直接本文を綴じつける、リボンリンプ装。正岡子規、高浜虚子などの夏を詠んだ104の近代俳句を暦順に掲載。

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「庭の本 秋」は表紙を柿渋染め、綴じ糸を栗とクヌギで染めています。秋、アトリエの正面に立つまだ青い柿の実を収穫します。染液は青柿色ですが、紙を繰り返し日光に当てることで濃い茶色へと変わっていきます。製本はボタンホールステッチ製本。北原白秋、三好達治などの秋を詠んだ近代史31編を暦順に掲載。

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「庭の本 冬」は表紙を枇杷の葉で、綴じ糸を南天で染めています。冬、庭の南天の枝葉を刈り取り、綴じ糸を染めます。枝の内部にある層と同じ、淡い黄色に染まります。枇杷は良い香りの白い花を冬に咲かせます。製本はバックステッチ製本。中央で鍵のように組合わさった表紙を左右に開くと、白い冬が現れます。

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草木染めというのはとても面白いですね。「庭の本 春」の椿は花びらで染めますが、桜は花びらではなく、枝から染めると薄い桜色になるそうです。「庭の本 夏」の藍の色も、藍色というと濃い青色を思い浮かべますが、生葉だと澄んだ水色に染まるなんて、はじめて知りました。「庭の本 秋」の柿渋染めは、青柿色の染液なのに、日に当てることで干し柿のような味わい深い色に仕上がります。「庭の本 冬」の枇杷の葉は緑色をしているのに、染まった表紙は枇杷の実のような色です。

ページをめくって季節を詠んだ和歌や俳句、詩などを読んでいると、千年前、数百年前にも、今と同じように四季があり、同じ季節を過ごし、同じように季節を感じたり楽しんだりしていて、昔も今も、私たちはあまり変わっていないのではないかと、不思議な気持ちになります。

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展示では草木染めや手製本の工程、春夏秋冬の「庭の本」が出来上がるまでの過程も写真でご覧頂けます。

最後に、空想製本屋である本間あずささんのブログからの一文を。


 四季を通して庭の本を制作する中で、私自身、もちろん細やかな季節の変化に敏感になりましたし、
 カレンダー的なコマ割の時間の流れから、
 季節は、時間は、帯状に、ひとつづきに、流れてゆき、互いの季節が互いを内包するようにして、
 抱え合っているんだなと実感するようになりました。そして自分もその一部なのだと。




MONONOME PRESS from 空想製本屋 「本の庭、庭の本」
2017年2月3日[金] - 2月20日[月]
OPEN 12:00 - 19:00 (CLOSE:火・水・木曜日)
作家在廊日:2月5・12・19・20日



スタッフ:イイヅカ